前文あいさつに、ひと昔前の文句がとび出してくる。
「手紙読本」のまる写しが原因なのだろうか。
現在では、ビジネス文の定型がある。
自社の呼称がわからない、相手の呼び方がわからない。
FAX送信はどのように書けばよいのか。
作成日で出すのか、発信日で出すのか。
社外に発信する文書は、一般にビジネスレターと呼ばれる。
ビジネスレターには、往復文書形式による場合と私信形式による場合とがある。
正式な文書には往復文書形式を用い、儀礼的な文書には私信形式が用いられることが多い。
各部課の発信で、格式にこだわらないときは、文書番号などを略してもよい。
官公庁あての文書では私信形式は用いない。
官公庁あてでは、特に発信者の住所が必要なので注意したい。
社内発信文書も、本来は往復文書形式によるべきだが、あまり厳格に考える必要はない。
適宜省略し、実務に即したものにする。
ビジネスレターは、一般に「往復文書」の性格をもっている。
往復文書とは、「往復文書形式」という書式を指す場合もあるが、普通は、コミュニケーションの相互行為という機能をもった文書を指す。
「往復」という機能は、往復文書形式による文書にはもちろん、私信形式による文書にも、その性格があることを忘れてはならない。
コミュニケーションの相互行為は、どちらの形式をとっても行われるからである。
だから、往復文書を正確に表現すれば、「往復文書形式による往復文書」と「私信形式による往復文書」とになる。
ここでいう「往復」とは、「往」に対して文書による「復」ばかりとはかぎらない。
つまり、対応行為の内容は「返書」ではないケースはいくらでもある。
例えば、注文書によって品物が届いた、申込書に対して会員証が送られてきたなども対応行為である。
電話での返事も「往復」の一種である。
それどころか、「復」に当たる対応行為の有無は、往復文書の絶対条件ではない。
返信を含むビジネス上の対応行為を前提としたもの、これが往復文書である。
だから、結果的に形の上での「対応行為」がなかったとしても、これも一つの対応とみることができる。
まして、「往復文書とは往復はがきのこと」と思うのは、大きな間違いである。
文書の発信番号は、右上すみに書き、末尾を行末から一字前にとる。
日付は、原則として発信当日の日付とする。
文書番号の下にそろえて書く。
月・日のほかに、必ず年を入れる。
あて名は、日付から一行下げて文書の左上部に書く。
社外あての文書は、必要に応じて住所をその方に書く。
あて名が個人であっても、特定された個人を指すのでなく、職位にあてだものであるときは、職名あてにすることがある。
特に官公庁あてでは、官職名のみにすることは差し支えない。
原則として職名のみを用い、必要に応じて、職・氏名とする。
敬称は「殿」「御中」「各位」を付ける。
「殿」は、今後「様」に統一されてゆく方向にあるので、「殿」に代わって「様」が主流となるのは近いと思われる。
発信1名は、あて名から一行下げて右寄りに書き、末尾で行末から一字分空ける。
規・令・達(社規・命令・通達)などあて名がない文書についても、同位置に書く。
あて名を職名にする場合でも、発信側は、社名・職名に氏名を付けたほうがよい。
社内文書では、発信者名は、原則として「営業部長」のように職名のみとする。
職名のみで不明確な場合は、「研究室専門部長山本一郎」のようにする。
対外文書には、必要により発信者名の上に住所を書く。
特に官公庁あての文書では、住所を付けるようにする。
発信者名は、受信者名と同格にする。
課長名で他の会社の部長あてに依頼状を出したり、社長名での照会状に課長名あるいは課名で返信を出すのは誤りで、礼を失している。
必要に応じて、発信者名の下に、担当部課名を括弧で書き加える。
あるいは、最後の「以上」の下か欄外に担当者の所属・氏名・電話番号を書き添える。
件名は次のように付ける。
一文書一件名とする。
一見して文書内容の趣旨がわかるように、主題を簡潔に表す。
発信者より一行下げて、本文の中央に書く。
長くなるときは二行になっても差し支えない。
件名は「……の件」と書かずに「……について」とする。
文書の性質がはっきりするように、件名の終わりに「通達」「照会」「回答」「報告」「案内」「通知」「依頼」「願い」などを、括弧に入れて記入する。
対外文書には「お」または「ご」を適宜付ける。
回答文書の場合、または関連文書を示す必要がある場合は、照会文書または関連文書の日付と番号を、件名の下に括弧に入れて記入する。
対外文書では、冒頭語に「拝啓」「拝復」を、結語に「敬具」を用い、冒頭語「前略」には結語「草々」を用いる。
「拝啓─草々」のような組み合わせはしない。
副文の止めには、別に「以上」を付ける。
社内文書では、冒頭語・結語を使わないで、終わりに「以上」とのみ書く。
対外文書で冒頭語を使う必要のない場合は、前項の社内文書と同様とする。
前文は、社内文書やグループ企業間では使わない。
対外文書で使う場合は、「時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」か「御社ますますご発展のこととお喜び申し上げます」のどちらかに統一するのがよい。
ビジネスレターでは、原則として時候のあいさつ文は使わないのが、これからの方向である。
主文をわかりやすく、正確に、簡明に書く。
わかりやすくするためには、全体に日常使い慣れたやさしい言葉を使うとともに、漢字の用い方や表現に注意する。
修飾語句の位置を適切にし、文の照応関係を正しくする。
構文は、主題から書き始め補足の関係でつづる。
「つづき」の文書も、一応独立してわかるように作成する。
一件は、できるだけ一枚にまとめるようにする。
正確に書くためには、必要な事項が漏れないようにするだけでなく、抽象的な語句や取り違えを起こしやすい語句を使わない。
社内文書では「恐縮ですが」「お手数ですが」「感謝にたえません」のような儀礼的な語句は使わない。
副文は次のように書く。
箇条書きを上手に使う。
添付物その他を送付する場合には、記(付記)のあと、追伸があればさらにそのあとに、明示しておく。
コピーを関係先に送付する場合には、副文の最後に送付先を記入する。
作成部数などは次のようにする。
発信文書は、必ず「控」を作成する。
「控」は「正」の完全な副本でなければならない。
契約文書では、「正二控」のほかに「副」「写」を必要に応じてつくる。
「正」「副」などの表示は、文書の右上余白にゴム印で押す。
「正」の表示は省略することがある。
普通の私信では、カーボン書きの2枚目やコピーの文書を送るのは失礼とされる。
投稿も同じ。
原則として、行末に官公庁あての文書ではこの住所を省かないように。
発信者、社名の直前に入れることもある。
不特定者に出す場合、省略されることがある。
社長就任あいさつ状のような、主として儀礼的な書簡に用いられる。
「敬具」を行末にとれない場合、「敬具」のように一字分空ける。
この前に文言がないことを示し、不正や事故を防ぐ。
ビジネスの書簡では、前文あいさつの中に当方の近況や安否は入れない。
主題がぼけるだけでなく、余計なPRととられても仕方がない。
「回復」を述べたい気持ちはわかる。
入れたければ、主題を述べたあとの、いわゆる「転」の部分がよい。
私信と違って、前文あいさつでは、相手の安否も問わない。
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